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純谷吉松(Itoya Kichimatsu)


■2003年11月のニュース一覧
▼[2003.11.30]03年12月的Winnyの使い方
▼[2003.11.28]破壊すべき,もの
▼[2003.11.26]当然のDRM
▼[2003.11.24]噂と噂の素顔
▼[2003.11.22]聞こえる声,聞こえない声
▼[2003.11.20]アンプレスデンテッド_uNprecedeNted
▼[2003.11.18]law to law
▼[2003.11.16]激ダメ人間的ソフト
▼[2003.11.14]ラスト・チケット
▼[2003.11.12]アクト・グランギニョル
▼[2003.11.10]空のないあした
▼[2003.11.08]パンサーの足跡
▼[2003.11.06]指先の伝送
▼[2003.11.04]解決策
▼[2003.11.02]似ても似つかぬ彼

■2003年12月のニュース一覧
■2003年10月のニュース一覧


 
[2003.11.30]
  03年12月的Winnyの使い方


 ▼ACCS、Winnyユーザー逮捕への経緯詳細を説明(Impress INTERNET Watch)
  http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2003/11/28/1298.html


 わたしは別にWinnyを保護したいわけぢゃない。『ネット上での自由な情報の流通は絶対なくならない』。云うべきことは,それだけだ。

quote:ACCS(コンピュータ著作権協会)は,Winnyユーザーが逮捕された経緯を説明した。だが詳細な方法については,操作の関係上コメントできないとしている。

 ともかく,説明しているACCSの人も記事を書いている記者もかもしれないが,Winnyを理解していないようで要領を得ない記事になっている。捕まった容疑者がどのようにWinnyを使っていたのかがわからないので不明な点が多いけれど,Winnyの暗号が破られた,Winnyを使っている人の身元は筒抜けだ,としてWinnyを非難したり使うのを止めるのはまったく間違っている(身元が筒抜けになりえるのはSafenyなどのツールからわかっている)。Winnyの長所はそこではなく,その長所はいまでも有効だ。

 Winnyでは,ファイルの持ち主とダウンロードする人との間に中継者が入ることがある(入らないこともある)。中継者の元には,中継したファイルがキャッシュとして残る(普通にダウンロードした人のところでもキャッシュとしてそのファイルは残る)。このキャッシュは暗号化されており,通常はなんのファイルか,中継者が知ることはない。警察が容疑者宅に押し掛けてパソコンを押収したときに,そのパソコンの公開フォルダが空で,キャッシュフォルダにあれこれファイルがあるだけだとしたら,罪を問うことはできない。中継者は意図的に違法となるファイルをダウンロードもしていないし,公開もしていないからだ(ということにしといてね)。もしキャッシュ保持が罪となるのであれば,街を歩いている人のバッグに知らないうちに拳銃を入れ,それを銃刀法違反で逮捕するようなものだ。ファイルをダウンロードした人は,そのファイルをキャッシュとして保持しておくように(公開フォルダにあるファイルは検索で表示させて,右クリックで「変換」を選んで完全キャッシュにする。公開フォルダのファイルは削除)。それでなんの問題もない,ね,すごそうな技術をふかしまくってる警察屋のみなさん?




 
[2003.11.28]
  破壊すべき,もの


 ▼ファイル交換ソフトWinny悪用、少年ら2人逮捕(読売新聞)
  http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20031127i413.htm


 どちらかを完全に壊す必要がある。壊さぬ限り,社会は成り立たない。さて,どっち?

quote:ネットを使ってデータをやりとりするWinnyを使い,映画やゲームソフトを公開したとして,京都府警は41歳と19歳の男性2人を著作権法違反容疑で逮捕した。Winnyのユーザー摘発は全国初。Winny製作者宅も家宅捜索され,ウェブサイトは閉鎖された。

 現行の現実社会の著作権がきちんと守られているネットをみたことがあるだろうか? 実際のところ,インターネットが生まれてからそんな日は1日もなかった。あるときは歌の歌詞がウェブページに全部書かれていたし,あるときは音楽CDのMP3ファイルを山ほどリンクしているページがあった。あるときはニュースグループで,あるときはFTPで,あるときはホットラインで,ゲームやアプリケーションのプログラムやCDイメージがやりとりされていたし,いまは,nyなだけだ。

 1999年にナップスターが登場してから,ファイル共有でファイルをばらまいていたからと云って逮捕されたのが,たった,たった4人。nyを起動して1文字入力して検索ボタンを押すだけでゴマンと現行の著作権法に違反するファイルが出てくるのに,たった4人なのは警察は腰抜けですか,ACCSはクズの集まりですか,と思うのは当然なのだが,誰も逮捕なんかですべてが解決すると思っていないからなんだから仕方がない。現行の著作権をきちんと守れるネットワークなど存在しない。ネットワークをすべてなくすか,著作権に対する考えを根底から改めるか,どちらかしかない。どっちを選ぶか,決まってるよね。




 
[2003.11.26]
  当然のDRM


 ▼QtFairUse: Cracking iTunes' DRM(infoAnarchy)【英語】
  http://www.infoanarchy.org/story/2003/11/24/22326/600


 家のなかに誰かがいるということは,入り口が開いて誰もが出入りすることができるということだ。誰も入れない家には泥棒も入れない。同じように,再生できる音楽,動画は,誰でもそれを自由にできる方法があるということ。それは,当然過ぎること。

quote:QtFairUseを使うとクイックタイムプレイヤーのDRM(デジタル著作権管理)が施されたAACオーディオの,DRMをはずすことができる。レジスターの記事はそれについてより詳細に述べている。これはクラックできないDRMなどないということを証明するよい例だ。スピーカーから再生している音が出ているということは,DRMが解除された状態でパソコンのどこかにデータが存在し,それは出力することができるということだ。

 QtFairUseは,作者であるヨン・ヨハンセン氏のウェブサイトから。彼のサイトのウェブログには,QtFairUseについて1行だけ「ウインドウズ版クイックタイムのAACファイルを出力するソフト」という説明があるだけ。でもまぁできることは報じられている通り。レジスターの記事によると,これはほかの人のiTunesがランデブーで共有している曲をそのまま自分のパソコンにコピーできるMyTunes(ウインドウズのソフト)と同じように動作するという(MyTunesも素晴らしいソフトである)。

 QtFairUseはDRMを解除してしまっているわけぢゃない。クイックタイムが音を出力しているところで,その音のデータを保存してしまっているだけだ。ソースを公開しているので,あとは誰かがその保存したデータにAACファイルとしてすぐに再生できるようにヘッダをつけるような作業をするトコロを付け加えれば,誰でも使えるソフトとなるだろう。ただまぁ,CDにコピーして,それですぐにDRMがはずれてしまうようなiTMSのDRMを解除したいと思うかどうか。アップルは取り乱さずに,十分楽に使えるファイルなんだからそんなもんいらんやろ,と開き直って欲しい。




 
[2003.11.24]
  噂と噂の素顔


 ▼だれかが嘘をついている、グーグルに関するうわさ(asahi.com)
  http://www.asahi.com/english/svn/gillmor/TKY200311220131.html


 噂は無表情だけど,いろいろなものがみえてくる。ある人には笑っているようにみえるし,ある人には怒っているようにみえる。本当はどう思っているかの答えはない。ただ,そういう顔があるだけ。

quote:ニューヨーク・タイムズ紙は,匿名の情報筋によるとマイクロソフト社グーグル社の買収を検討していると報じた。だが今週のUSAトゥデー紙では,マイクロソフトのビル・ゲイツ会長が,そのような話し合いをしたことはないと語っている。誰かが嘘をついているわけだ。グーグルは来年,株式公開を予定しており,今回の噂はベンチャー・キャピタリストによる大規模な株価操作の気配がするという見方もある。

 「ちょっと前につきあっていた女の子が結婚したという噂を耳にした。別に,本当かどうかいまさら確かめる必要もない。本当のことを知ったからと云って,なにかをするわけでもない。ふ〜ん,そうなんだ,とただ聞き流して,もしかしたら心のどこかでうれしい気持ちや,哀しい気持ちが出てくるのを感じながら,その噂を噛み締めているだけだ。自分の周りのことに限らず,噂とはそうやって受け止めるものである。」

 グーグルのデスクトップバー(MYCOM PC WEBの記事)を使うと,ウインドウズの領域を侵し始めているなというのは当然感じることだ。OSとネットワークの関係について,ネットワークはOSの下で扱うものと思っている人もいるかもしれないが,実際は逆だ。OSはネットワークの下に配置され,そして最後には存在意義を失う。現在OSが行っていることは,すべてネットワークが代替となることができる。今回の噂は,MSの情報が漏れたのか,グーグルで一儲けしようとした人たちの企てなのかは定かではないけど,噂とは,そも真実を知るために表れるものではない。だがそこにはなにかが表れている。グーグルに脅かされるクラシックOS(ウインドウズやマックOS Xのことね)の姿,OSを喰い始めているグーグルの姿,それらに抗う術を求めているMSの姿,が見え隠れ,する?




 
[2003.11.22]
  聞こえる声,聞こえない声


 ▼盗聴防止機能を搭載した携帯電話、CryptoPhoneが欧州でデビュー(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000047715,20062127,00.htm


 解読できない暗号というのは存在しない。解読できない暗号は暗号できないからだ。解読した結果が美味しければ,誰かが解読する。やりとりされている情報を誰かが手に取れれば,防ぎようはないのだ。

quote:クリプトフォン社は絶対に盗聴ができない携帯電話,クリプトフォンを発売する。欧州では1台1900ユーロ(約24万円)で売られており,米国向けには今年末までに出荷されるという。安全に会話するためには2台のクリプトフォンが必要になる。

 アメフトのNFLなどでは,スタジアムの上部でオフェンスコーディネーターやディフェンスコーディネーターが陣取って戦況をみつめ,フィールドにいる選手に電話で指示を与える。その電話はどのスタジアムでも有線で,無線でのやりとりは絶対にない。理由はひとつで,盗聴されることが絶対にないように,らしい。アウェイ(相手チームのスタジアム)での試合の場合は,きちんと電話回線の信頼性が確認される。さまざまな最新設備を持つNFLで,選手が電話を持って話を聞いている姿はなんか違和感があっておかしくもある。

 ネットワークはすべての人が同じフィールドにいる。同じ場所にいるんだから,耳をすませばすべての声が聞こえる。スニッフィングはのぞき見趣味としては楽しいだろうし,悪事にも使える。クリプトフォンは暗号化によって盗聴を防いでおり,地上波デジタルなどのコピーアットワンスの複数暗号化にもいえることだが,解読できない暗号というのは存在しない。DVDの暗号化だって誰もこれほど簡単クラックされるとは思っていなかった。正直に解読されるか,またはどこかに穴がみつかるかは,必ず時間の問題なのだ。完全なコピープロテクトというのは,完全に存在しない。なお,アメフトで絶対に盗聴できない電話回線で伝えていてという話には,コーディネーターの胸元に盗聴装置が付いていて,相手がそれを無線で全部聞いていたという笑い話がある。有線で伝えているなら,無線で聞いてしまえばいい。やり方はいくらでもある。




 
[2003.11.20]
  アンプレスデンテッド_uNprecedeNted


 ▼「定額は、あまりいいものではない」 〜ボーダフォン、グリーン社長(ZDNet Mobile)
  http://www.zdnet.co.jp/mobile/0311/18/n_vodagn.html


 比較するべきものではない。ノキア7600に似ているのは,ノキア7600しかない。

quote:ボーダフォン社は2003年中間期の決算発表を行った。ダリル・グリーン社長は,上半期はメガピクセルカメラ端末以外に魅力的なものを提示できなかったことを認めたが,今後はテレビチューナー搭載のV601Nなどがリリースされ,大きな期待を寄せる3G端末としてノキア7600など3製品を明らかにした。

 よっしゃ,完璧です。欲しい携帯電話(過去記事)のツボど真ん中です。日本のメーカーには絶対にできない機種。日本語化して来年早めに発売したいという話は出ていたけど,キャリアが決まってなかった。でもボーダフォンというのはいちばん順当。なぜか? 海外に持っていってもそのまま使えるなら,海外で発売している携帯電話をそのまま日本でも出せるということ(ノキア7600はまだリリース前だけど)。3G端末発売が他キャリアより激しく遅れたのはもちろんマイナスではあったけど,W-CDMA完全対応がノキアの今回の動きになったのは確実なんだし,ノキア7600だけで遅れのすべてのマイナスを解消しておつりが来る。

 価格は450ユーロほどということで,1ユーロ130円とすると6万円弱。ほかと比べるとかなり高いけど,比べようのない製品なので問題ない。そしてノキア7650と同じシステムであろうことから,マックのiSyncでの利用も可能であると考えて間違いない。デザイン,メディア(音楽と動画),ブルートゥース,(PCとの)コネクション。すべて今までの観念を捨てるデバイス。すべてを打ち破る,破壊力。待ち遠しいな。




 
[2003.11.18]
  law to law


 ▼バーチャル世界にも現実世界の法律を?(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20031117206.html


 夢のなかの法律は夢のなかでしか機能しない。小説のなかの犯罪は小説のなかでしか裁けない。アニメのなかの夢はアニメのなかでしかかなえられない。なら。

quote:ゲームのなかで被害を受けた場合,その仮想世界は無法地帯か,それとも裁判所の権力が及ぶ地域だろうか。ゲームで使うアイテムをオークションで売買する行為も,問題になることが多い。

 舞台の上にいる裁判官が,観客席のあなたを指差して云う。あなたは腕を組んでいましたね。その行為は相手を侮蔑する行為として重罪です。今すぐあなたを処刑台にあげます。ここは舞台の上だから演技だと思っていますね? 本当に,殺しますよ?●あなたはこれが夢のなかだとわかっていたので,嫌いな人を思いっきり包丁で突き刺した。そこで,ふと目が覚めた。夢か…と思いながら身支度を調え,仕事に行くためにドアを開けると,警察官が立ちはだかって云う。人を殺しましたね。あれは夢のなかのことですって? 現実で人を殺してはいけないのに,どうして夢のなかなら許されるというのですか?

 記事を読んでなんか変だなと思った人はいると思う。なんでこの人たちはゲームのなかでの悪いことは,現実の法律で裁くか,裁けないかの二者択一をしているのだ? と。もうひとつ,ワイヤードの法律で裁くという手段が残っており,それがいちばん正しいのだ。リアルとワイヤードは違う。同じ法律はありえない。たとえばリアルで銃が10万ドルで売っていたとして,ワイヤードで1ドルで売っていたとする。そのふたつの場所に同じ法律を敷くことはできない。だからiTunes ミュージックストアやナップスターはたった1ドルでしか音楽を売れないし(それさえもきびしい商売だ),同じ著作権を持ち込もうとする人間どもはバカにされる。こっちの国では麻薬を禁止している,でもこっちの国では禁止していないというような国ごとに違う制度を持っているリアルと,地球の裏側にいる人と10GBのファイルを自由にやりとりできるワイヤードとで,同じ法律はありえない。わかりきっていることだ。リアルの法を捨てよ,ワイヤードの法を持て。




 
[2003.11.16]
  激ダメ人間的ソフト


 ▼MSの「ウイルス対策基金」は無駄金だ(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0311/10/cead_vamosi.html


 半年ほど前にウインドウズXPではインストールよりそのあとのアップデートの方が時間がかかると書いた(過去記事)。いまは時間がかかりすぎることもあって購入したSP1でインストールしてるんだけど,それでもインストール直後に30個近いパッチを当てることになる。みんな,激しく怒るようなことぢゃないのかなぁ?

quote:マイクロソフト社などは,ウイルスを作成した人物の逮捕につながる情報に500万ドルの報償金制度を発表した。マイクロソフトは特にMSブラスト,ソービッグFの作者逮捕のために25万ドルを提供する。マイクロソフトは自身のコードを強化するでもなく,よそに責任を転嫁しようと決めたのだ。このアプローチは間違っており,逮捕ではウイルス作成は防げない。必要でないOSの機能を取り除いたり,パッチをいつでも当てられるようにアップデートを入れたCDを毎月送ったりした方がよい。

 素晴らしい記事でした。感動した。まぁマックOS Xで不必要なポートが閉じられているというのは間違いな気もするけど(10.2ではファイル共有を行うとファイアウォールが働いたが,10.3ではそれも手動で行わなくてはいけなくなったような気がするけど…?),全体的な論調はステキです。まぁいまのZDNet Japanのアンカーデスクで読む価値があるのはこのロバート・バモシ氏だけだと思うが。

 まずウイルス作成者を逮捕しよう,セキュリティパッチはずっとなくならない(CNET Japanの記事),というMSの考えは確実に間違っていて,物笑いの種なのだ。もちろん,パッチがなくなることはない。でも毎月数個の重要なパッチが必要になることは異常だ。MSがセキュリティに力を入れると云って(WIRED NEWSの記事),どれくらいの月日が経ったのかわかっているのだろうか? 一言でいえば,この会社の作るソフトは素人が作るもの以下,というより,人間的に失格の烙印を押されるものだ。




 
[2003.11.14]
  ラスト・チケット


 ▼チェス名人対コンピュータ、初戦は引き分け(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0311/12/xert_chess.html


 人間同士のスポーツでは,力の強い,技術が優れているチームでも100回試合をして100回そちらが勝つということはない。4番打つバッターを集めた野球チームが,100戦100勝することは絶対ない。優秀なコーチがいるアメフトのチームなら特に,相手にアジャストすることで戦力差をあっさりと克服することもできる。相手がコンピュータなら,その対応はまだ人間相手より楽,なのだけど,そのラスト・チケットはあと1枚ぐらいしか残ってなさそう?

quote:世界ランク1位のチェス名人,ガリー・カスパロフ氏とコンピュータ「X3Dフリッツ」との対戦の第1試合は引き分けとなった。カスパロフ氏は3Dメガネをかけて表示されるバーチャルリアリティ画面が気になってしまったと認めた。試合は残り3試合あり,勝者には賞金20万ドルが授与される。

 試合前の解説はWIRED NEWSの記事で。その解説を読んで感じるのは,人の長所は相手に合わせることができる,ということに尽きてしまうのだろう,ということだ。コンピュータには型がある。もちろんその型はどんどん増えて広がっているんだろうけど,プログラマのプログラムした型を忠実にたどる以外のことはしない。つまりその型を外せば,勝ちが転がってくる可能性が高まる。真っ正面からその型に沿って勝負をしたら負ける。絶対負ける。コンピュータは,その型のなかでは間違いをおかさないからだ。

 最初はなんとか引き分けに持ち込みながら相手の動きを把握し(そこは世界1位の力を発揮してもらって),次第に相手にアジャストしていく。だけど,その戦術がいつまでも続くとも思えない。アジャストしてきた相手にまた的確にアジャストし返す術を積み重ねていけばいいのだ。もちろん,それにさらにアジャスト,…と続いていく。その相手に対する対応の幅が最後の鍵,と感じる。人を超えるのは,それほど大変ではないんだろうな。(第2戦14日午前3時,第3戦17日午前3時,第4戦19日午前3時,WIRED NEWSのページのFLASHでライブ中継)




 
[2003.11.12]
  アクト・グランギニョル


 ▼ソニー・BMG、デジタル時代に追われた統合(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0311/07/ne00_bmg.html


 擾乱の客席に 舞う薔薇の花弁/幕裂ける暗転グランギニョル/光は星屑の残火/闇は山の端の漆黒/天壌アラベスク 薔薇の花弁舞う/終わりの時を 悲史と噛み締めながら。

quote:世界2位のレコード会社のソニー・ミュージック社と5位のBMG社(ベルテルスマン・ミュージック・グループ)が合併し,事業を統合すると発表した。音楽会社が新たなデジタル時代に適応しようともがいていることを物語っている。

 よく世界の音楽市場を牛耳っているのは,5大レーベルだと云われる。ユニバーサル,ソニー,EMI,ワーナー,BMGの5つだ。今回のソニーとBMGの合併,そして記事中にもあるEMIとワーナーの合併によって,3大レーベルとなる。大雑把に云うと市場の1/4がユニバーサル,1/4がソニーBMG,1/4がEMIワーナー,残りがそれ以外のインディー系などとなる。合併によるシェア拡張は当然,守りの姿勢であり,コンシューマーにとってもアーティストにとっても利益を生むものではない。ではなんのための整理統合なのか? レコード会社の幹部たちの持ち金を守るため以外には,なんの理由もない。

 現在の音楽という物語があるなら,その最期にハッピーエンドはなさそうだ。無慈悲なほどの猟奇にせせら笑いながらの結末となる。ネットワークは悪者扱いされるだろうが,たぶんそれでよいのだろう。せせら笑いの陰で,次の音楽が生まれるのだから。なにかが残ることはない,いまあるものはすべてなくなるだけ。いまはただ,観客席の隅で,笑いながらそれを観ていればよい。(q.v. 月蝕グランギニョル/ALI PROJECT




 
[2003.11.10]
  空のないあした


 ▼標準不在のコンテンツ保護に先はない――?(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0311/07/ne00_content.html


 iPodでナップスターの曲を再生できるようになることは,たぶん100%ないだろう。ナップスターでiTunes ミュージック・ストアの曲を再生できることも(それ以前にAACを再生できることも),同じくらいありえない。空のない音楽を,ボクたちは楽しむことができるんだろうか。

quote:ナップスターのサービスで問題なのは,もっとも人気の高いiPodに対応していないマイクロソフト社の技術が使われている点だ。デジタル権利管理(DRM)と呼ばれるコピー防止技術に互換性がない問題は評判が悪く,また企業はDRMによって顧客の囲い込みを行える。

 絶対に家から出ないという女の子と付き合うことになった。そんな変なことぢゃない。ただ,どこにも出かけないだけ。彼女とは,彼女の部屋で会う。もともとボクは人込みが好きじゃないし,ちょうどいいかもと思った。相手のことが好きなら,会う場所が決まってたってたいした問題ぢゃない。部屋でなら,2人きりでいられるのだしね。彼女は,現代では珍しいほどの優しさを持ち,見目麗しい女性だった。かわいさもあり,魅了するものを持っている。欠点なんて探してもみつからないほどで,不満などなにもないと思った。

 たとえばあなたは,「あなたとはもう一生,わたしの部屋でしか会いません」と付き合っている相手に云われたらどうするだろう? 君の顔をみていられるならここでしか会えなくたって関係ないさとちょっと恥ずかしいことを云ってみてもいいんだけど,なんで彼女がそんなことを云い出すのか気になるだろう。どんな理由かはわからないけど自分ではどうすることもできない理由のために,一緒にご飯を食べに行くことも,遊びに行くことも,自分の好きな風景をみせることもできないことが,ちょっとだけ歯がゆく感じられてくるかもしれない。別に彼女を自分の所有物だと思うつもりもないし,そんな思いも間違っていると思うけど,自由でない彼女とのあしたを考えてみて,彼女と歩くことがない秋の空を見上げてみた。空のない彼女とのあしたは,陽の差さぬ廃屋のにおいがした。




 
[2003.11.08]
  パンサーの足跡


 ▼マック最新OS X『パンサー』、ファイヤワイヤをめぐるバグは本当に解決したか?(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20031107301.html


 10.0→10.1→10.2と初期のバグは減ってきていた。けど,10.3は微妙にズレが残っているような。

quote:アップル社は,ハードディスクのデータを消失させるマックOS X 10.3 パンサーのバグを解決したと述べているが,その発表通りではないという専門家もいる。アップル社は特定のチップセットの問題しか認めてないが,それ以外の機器でも問題は起きているようで,問題の詳細な情報を提供していないという批判もある。影響を受けた人間は少ないかもしれないが,これは深刻な欠陥とも云える。

 外付けハードディスクのデータが吹っ飛んだら怒るどころか茫然自失とするものだけど,なんとなくパンサーには細かいバグは多いように感じる(テキトーに云ってるけど)。ジャガーなど,いままでのOS Xのメジャーアップデートよりも,多い感じが。個人的になんか変だなと感じるのは…。(1)日本語入力ができなくなる。入力メニューは日本語入力になっているのに欧文文字が入力される。EGBRIDGEの互換性の問題かと思ったけどことえりでも起きる。入力しようとしているアプリを再起動させると直る。(2)アイコンが狂う。まったく別のアイコンになったり,中途半端なアイコンになったり。再起動すると直る。

 (3)接続できるはずのサーバーが表示されない。再起動したりぼけーっと長時間待っていると表示されたりするけど,それまでファインダーではブラウズできない。特にSambaボリュームを見失うことが多いような。以前ブラウズしたキャッシュが表示されて新しくブラウズしてない感じ。あと,マウントボリュームが複数連番で残っているのもみっともない。たぶん細かい修正で直ることばかりだと思うのだけど,ベータテスト末期の急激な各種の変更(各コンポーネントの最新版の入れ込みなど),急展開で予想以上の速さで決まった発売は,なんとなく問題の引きがねと思えなくもない。完成度は高くて不満は少ないんだけど,ね。




 
[2003.11.06]
  指先の伝送


 ▼新日エレクトロニクス、指紋認証機能搭載のUSBメモリ発売(MYCOM PC WEB)
  http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/11/04/23.html


 指先を触れるだけでいく。そこに流れる,100ベースTXよりも膨大なデータで。

quote:新日エレクトロニクス社は,指紋認証機能を搭載したUSBメモリ,サムドライブタッチ128MBを発売した。100台限定で24800円。紛失や盗難の際のデータ漏洩を防止できる。

 USBメモリは便利だと思う。USBの刺さらないパソコンはほとんどないし,ちいさなテキストファイルやMP3ファイルなど,ネットワーク経由で渡してもいいんだけど,傍受などの心配も全然ないUSBメモリの方が気が楽だったりする。USBにぶちさしてファイルをドロップするという,物理的な安心感もあるんだろう。で,ついついそのまま放置してしまいがちなUSBメモリなので,もうひとつのプロテクトとしての指紋認証。まぁそれがどれほど精密なものなのかはよくわからないけど。

 手を握っただけで,君だとわかる。なにか手に特徴があるわけでなく,傷とかがあるわけぢゃない。もちろん手の大きさとか指のカタチとか,そんなのは触ればわかるけど,それ以外にも,手を触れた瞬間に伝わってくるなにか,がある。実際のところ,指先が触れただけでも君だとわかる。思っていることが,考えていることが伝わってくる。気持ちが,おなじプロトコルでつながるのがわかる。温度,柔らかさ,ぬくもり,そして,伝わってくる想い。これは,ネットワークの原理でもあることに,ふいに気付く。




 
[2003.11.04]
  解決策


 ▼ティム・オライリー「iTunesはネットワーク・ソフトウェア革命をリード」(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/business/story/20031030103.html


 たとえ,ほかの誰よりも「好きだ」と思っていても,言葉に,想いを伝えるカタチにしなければ,なにもないのと一緒。だから,その想いを投げ込め,つながりへと,ネットワークへと。それが解決策。

quote:テクノロジー関連の出版社,オライリー&アソシエーツ社のオライリー社長の云うソフトウェアの未来とは,iTunesだ。遠からず大半のアプリケーションは,ほかのコンピュータや機器に接続するようになる。ネットワーク接続していないワープロや表計算などの単体で動くソフトという旧来の考え方は時代遅れになりつつある。

 アインシュタインは光量子論や一般相対性理論とイコールでとらえられるが,でももっと,彼の頭のなかにはなにかがあったのかもしれない。ただ,発表する機会がなかっただけのものがあったのかもしれない。仮説のまま頭のなかで思考を繰り返し,明確な立証を得ようと思ったまま,眠ってしまった重要な理論もあったのかもしれない。旧式の考えでは,そこで途絶える。

 ではネットワーク式の考えではどうなるのだろう? すべての進行中のプロジェクトも日の目をみることになるし,ユーザーが許せば修正,変更,助言も可能となる。それが,学問の,文化の,作り方となる。そのためには,すべてがそこに集まっている必要がある。ほかの研究結果も,理論も,文学も,詩歌も,音楽も,映画も。いまの学問と文化の閉塞状態を打ち破れるのは,そのネットワーク式の世界が実現したときだ。それまで,人間はなにも作れぬまま,なにも生み出せぬまま,新しい世界を夢みるだけで過ごす。出てくるのは,過去にあったもののリメイク,リピートだけ。だからいまから,コピーしたテキストも音楽も動画も,すべてネットワークに放り込め。そのすべてが,あしたとなるのだから。それが次の,いままでにない世界を作る解決策となるのだから。




 
[2003.11.02]
  似ても似つかぬ彼


 ▼「優等生」になったNapster、はたしてユーザーの反応は?(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000047715,20061704,00.htm


 「彼は変わったよ。別人のようだ」「なにを云ってるんだ。似ているけど,そもそも別人だよ」。

quote:ナップスター社が始めた新しいサービスは,外観や使い勝手の一部に古いナップスターの面影を残してはいるが,定額利用と曲単位でのダウンロードの両方のサービスとも値段が付いている。同社の掲示板に書き込みを行っているユーザーは,いまのところその点はあまり気にしていない。

 100%別のものなんだから名前を変えろと思うナップスター2.0(pic)。だけどマーケティング的には,「ナップスター」と云う怪物の名前は,捨てるのはもったいないのだろう,迷惑な話だが。普通の音楽プレイヤーとして使おうにもユーザー登録をしないと使えない。登録しないと手持ちの曲も再生できないし売ってる楽曲の30秒の試聴もできないので,それが面倒なら使う理由はない。試聴はiTunes ミュージック・ストアと変わらない(pic)。曲を選んで右上の再生ボタンを押せば聴ける。手持ちの曲の音楽プレイヤーとして使おうと思うかもしれないが,曲の登録はドラッグ&ドロップでできず,「File」メニューから行う必要があり面倒。また,トラック名一覧はきちんと表示されるけど,右側の演奏中の曲やプレイリストのトラック名は日本語だと化ける(pic)。MP3エンコードもできないしネットラジオも自由に聴けないし,曲が買えない日本人がダウンロードする意味はない。

 当然ナップスターで購入した楽曲はiPodで,そしてiTunesでも再生することはできない(ナップスターでの曲はWMAフォーマット,WIRED NEWSの記事)。逆もまたそうで,iTunes ミュージック・ストアで買った曲はiTunes以外では再生できない。曲ごとにプレイヤーを替えなきゃいけないというのはよくよく考えればバカバカしいことで,解決するにはiTunesでもナップスターでも買った曲で音楽CDを焼き,その音楽CDをリッピングしてMP3にすればよい。そうすれば,その曲はナップスターでもiTunesでもiPodでも再生できる。結局のところ,もっとも汎用性があって使い勝手がよくて皆幸せなのはMP3ですね,というところに話が落ち着く。iTunesもナップスターもMP3は再生できるんだからね。そのあたりが,この音楽配信事業のもっともバカバカしいところなのだ。




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